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滯英日記 >> ヨーク(5)

2011.9.15(木)

ヨーク York

ヨーク最後の日である。今度こそフルブレックファーストを食べて(揚げたパンがややきつい)、ヨーク見納めの散歩に出た。
昨夜、リチャード三世博物館で買ったパンフレットを読んで「St Martin's教会」にリチャードが寄進したイノシシ柄のステンドグラスがあるという記述を発見していた。聖マーティンの名を冠した教会は二軒見かけたが、どちらなのかは分からなかったので、とりあえず両方見に行ってみることにする。

■トリニティ教会 Holy Trinity church

ミクルゲートバーをくぐり、道沿いに歩いていくと、右側にトリニティ教会が見えてきた。門のすぐ内側に晒し台がある。これはレプリカだが、かつては本物の晒し台が置かれていたのだという。
扉が開いていたので内部を見学してみる。パネルが設置されて教会の歴史を説明している。ノルマンディーから来た坊さんたちが建てた教会だそうな。入り口近くの内壁は黒ずんでいて古色蒼然としている。
ベビーカーを押した若いお父さんと、会社員風の若い女性が熱心に祈っていたのが印象的だった。

 

■聖マーティン教会 St Martin le Grand

トリニティ教会を出てさらに進むと、その名もSt.Martin通りにぶつかる。その角に聖マーティン教会が建っていた。しかし、鍵がかかっていて中には入れない。
ウーズ川を渡り、Coney通りを左折するともうひとつのマーティン教会がある。こちらは幸い開いていた。こぢんまりとした感じのいい教会だが、ステンドグラスは新しそう。すみずみまで見たが、イノシシのステンドグラスは発見できなかった。
(帰国後に調査したところによると、リチャード3世がパトロンになっていたのは、やはり鍵がかかっていたほうの聖マーティン教会であるらしい)


■ミュージアムガーデン Museum Garden

ミュージアムガーデンへ立ち寄った。園内にはヨークシャー博物館があり、ローマ時代のモザイクや中世の宝物が展示されている。中でも有名なのがMiddleham Jewel と呼ばれるミドゥラム城近郊で発見されたペンダントで、これはぜひ見たかったのだが、結局開館時間に訪れることはできなかった。

 

ヨークシャー博物館の奥に広がる廃墟はベネディクト派の聖メアリ修道院。1082年創立だが、今見られる建物は13世紀のものだという。かつては北イングランドでも有数の規模を誇ったが、例によってヘンリー8世の時代に閉鎖、破壊された。
そこここに石棺が転がっているのだが、中に入っていた人はどうなったのか少し気になる。

ベンチに座ってリスとハトにえさをやっているおじいさんがいた。観光客たちがリスに群がって写真を撮っている。

 


■ミクルゲート・バー・ミュージアム Micklegate Bar Museum


城壁からヨーク・ミンスターを望む

初日と同じく、ウーズ川のほとりから城壁に上がり、ミクルゲート・バーまで歩いた。地上には降りず、そのままミクルゲート・バー内部の博物館に入る。入場券はなんと12ヶ月有効だそう。

展示はおもに薔薇戦争に関するもの。戦場跡から出土した古いバックルやらバッジやらが飾られている。
出発前に先達のブログで見た写真では、3代ヨーク公のさらし首の模型がババーンと飾られたおどろおどろしくもB級感あふれる展示だったのが、その後内部を改装したと見えて、だいぶすっきりしている。もっともヨーク公の首は展示場所こそ隅っこに変わったものの今も健在であった。

この首の展示は単なる悪趣味ではなく、ウェイクフィールドの戦いで王妃マーガレット・アンジュー率いるランカスター派に敗れたヨーク公の首が、実際にこのミクルゲート・バーの上に晒されたという史実から来ている。
シェイクスピアの『ヘンリー6世』には、マーガレット・オブ・アンジューがヨーク公に紙の冠をかぶせて侮辱する場面がある。

ヨークは王冠をかぶらなければ、口がきけないらしいわね。
ヨークに王冠を! さあ、みなさん、ひざまずいて公爵にお辞儀をするのです。
わたしがこの男に王冠をかぶせるあいだ、この男の手をおさえていてください。
ほら、何と素敵なんでしょう、ね、これで王さまらしく見えるわね!
ほら、これがヘンリー王から王冠を奪い取った男、
この男がみずから王位継承者となった男。

紙の王冠をかぶらされたヨーク公の首は、次男エドマンド、ソールズベリー伯らとともに、ミクルゲート・バーの屋上に、ヨーク市内の方を向けて晒された。この処置は翌年3月、ヨーク公の長男エドワードがタウトンの戦いに勝利してヨークに入城するまで続いた。

ヨーク派(左)、ランカスター派(右)の主だった人物の紹介。
ヨーク公はあくまでも生首。 



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