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滯英日記 >> ヨーク(2)

2011.9.14(水)

ヨーク York

7時45分、朝食を取りに階下に降りる。フルイングリッシュブレックファーストが選択できるのに、うっかり他のメニューを注文してしまった…。

■ヨーク・ミンスター York Minster

9時の開場時間に合わせてヨーク・ミンスターへ。北ヨーロッパ最大級のゴシック建築と言われるこの大聖堂は、ヨークのシンボルであり、もちろん一大観光地。
たくさんの観光客と一緒にチケットを買って中に入ると、すぐ右手にクワイヤへの入り口がある。


この壁面にはノルマン〜中世までの15人の王の像が並んでいる。獅子心王が好々爺然とした顔をしていたり、リチャード2世がボンバー頭のイケメンだったりと面白い。
一番右にいるのがランカスター最後の王ヘンリー6世。他の王様たちが剣などを持ち武人風の装いを見せる中、一人哲学者のような表情で聖書に目を落としている。作者が違うのか、他の像にくらべると造形も写実的だ。
ヘンリー6世は母方の祖父シャルル6世から狂気の血を受け継いだといわれ、たびたび精神錯乱に悩まされた。その一方で敬虔かつ学問を好む穏やかな人だったようで、平時の王であったら何事もなく一生を終えたのかもしれない。

《クワイヤ〜主祭壇》

王たちの像の間をくぐってクワイヤに入ると、パイプの一本一本にまで装飾がほどこされた壮麗なオルガンと、精緻な彫刻で飾られた聖歌隊席が並ぶ。
ここを通り抜けるとサンクチュアリ越しに東のステンドグラスが見える、はずなのだが、残念なことに2008年から始まった修復のため取り外されている。完了までには10年を要するとのこと。かわりにステンドグラスの絵柄を転写した大きなスクリーンがかかっている。もとのステンドグラスの一部はガラスケースに入って展示されていた。


《ウィリアム・オブ・ハットフィールドの墓》


回廊に入ってすぐにイングランド王家の旗が飾られた一画がある。エドワード3世の次男で生後すぐに亡くなったウィリアム・オブ・ハットフィールドの墓だ。
墓像は他の墓に比べると明らかに素朴なつくりで、長い年月の間にすりへったのか、のっぺらぼうになっている。聖堂の規模を考えると意外だが、ヨークミンスターではこれが唯一の王族の墓だそうだ。

《チャプターハウス》


会議室として使われた部屋で、翼廊から廊下でつながっている。
八角形の部屋の壁面がすべてステンドグラスで覆われていて天国にいるような眺め。壁面に近寄ってみると、細かい彫刻がほどこされていて、無数の顔が。おどけた表情を作る男、王冠をかぶった王や王妃、聖職者、商人風の人、顔が三つある異形の女性など、表情豊かな顔たちが脈絡なく隣り合っていて、ひとつひとつ見ていくと時間を忘れる。


《五人姉妹の窓》

13世紀のもので聖堂内ではもっとも古い。グリザイユで描かれているので色合いは地味。

《薔薇窓》

1500年頃に完成したという薔薇窓。
出発前に読んだ「旅名人ブックス ヨークとハワース、北イングランド」には以下のように書かれている。

赤いバラと白いバラが中央の向日葵を取り囲むように仲良く並んでいる図柄。イギリスで一四五五年から一四八五年まで三十年間も続いた内戦の「薔薇戦争」が終結してチューダー王朝が成立した時の記念として造られたステンドグラスである。



薔薇窓(上)とひまわり部分のアップ(右)

 


ひまわりは新大陸原産で、この薔薇窓が出来た頃はまだイングランドに普及していなかったはずなので、ヨーク家の人々が好んで用いたSun in splendourの間違いでは?と思っていたのだけれど、やはりひまわりに見える。はて。しかし、周囲を取り囲んでいるのは「赤いバラと白いバラ」ではなく「赤いバラと紅白のテューダー・ローズ」だと思う。

《クリプト》

クリプトは博物館になっていて、ローマ時代の遺構や、ノルマン時代の初代聖堂の基礎、教会の宝物などを見ることができる。
古い時代の司教の石棺もあったが「石棺の中央に穴が開いているのは腐敗した死体から出る体液やガスを逃がすための知恵です」と説明がついているのが生々しい。

最後に塔の入り口に行ってみると、すでに定員に達していて次の回は11時だというので諦めた。
売店でチャプターハウスのヘンな顔レプリカや白薔薇アクセサリーを買いそうになったが思いとどまる。




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