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ヌエバ広場から今度はアルバイシン行きのバスに乗った。
サクロモンテ経由だったので、ジプシーの住む洞窟を外から見ることができた。白壁に絵皿や花が飾られていて賑やか。洞窟の中はタブラオになっており、夜になると観光客向けのフラメンコショーが行われているようだ。ホテルでもパンフレットをくれたが、今のところフラメンコに興味はないし、一人で出かけて行くのもなんだか痛いので行かない。
ここで乗客の一団を降ろすと、バスはUターンしてアルバイシンへ向かう。

くねくねと細い山道を登って、サン・ニコラ展望台前で下車。
ちょっとした広場になっていて、バルが二軒あり、観光客が談笑したりお酒を飲んだりしている。
展望台の端に立ってアルハンブラの全景を眺めた。ここから見るアルハンブラは宮殿というよりも堅固な城塞といった風情で、内部にあのようなきらびやかな世界が広がっているとは想像しがたい。

ナスル朝最後の王ボアブディルは、北アフリカへ落ち延びていく途中、現在「モーロ人の最後の溜息」と呼ばれている谷からアルハンブラを見やったと言われている。
レコンキスタ完遂と言っても、王位継承をめぐる内乱でガタガタになっていたグラナダ王国がカトリック両王につけこまれたというのが実情に近い。
ボアブディルの母アイシャはなかなかの烈婦で、宮殿を振り返って涙を流す息子にこう言い放ったという。
「男らしく守れなかったもののために、女のように泣くがいい」

地図を手にアルバイシンを散策してみることにした。
私の他にも観光客がたくさんうろうろしている。
目に眩しい白壁の家の間を散策しながら、グラン・ビアを目指して歩き始めた…のだが、私が道に迷わずにすむわけがないのであった。
フト気が付くと周囲には誰もいない。アルバイシンはあまり治安の良くない地域として知られている。こんな所で強盗に襲われたらひとたまりもないのでは…。
慌てて人通りの多いサン・ミゲル・バホ教会の前まで戻り、もう一度地図を吟味。再び歩き出す。そのうち人の姿が多くなってきて、ざわざわしていると思ったら突然賑やかな通りに出た。

細い道の両側に、観光客向けにアラブ風の雑貨を売る店がひしめいている。抜けるとグラン・ビアに出た。
映画館があり、カンヌで主演男優賞を獲った柳楽優弥君の『誰も知らない』がかかっていた。
グラン・ビアを渡り、向かいにある王室礼拝堂へ向かった。明日はグラナダを離れるので、かの王たちに別れを告げようと思ったのだ。
王室礼拝堂の入り口の側で、ローズマリーのような花の束を持った女の人が「おねーさんおねーさん」と声をかけてきたが無視。これが噂の花売りか。
二度目なのでわき目もふらず仰臥像の前まで行った。
四人のまわりをゆっくりと一周したあと、フアナ像の左側の椅子に腰を下ろしてしばらくその横顔を眺めていた。クリプトへ降りる人の流れがとぎれたところで階段を下りる。
五人の棺はきのうとまったく同じたたずまいで静かに横たわっていた。この数百年そうであったように。これからも彼らの眠りが妨げられることのないよう祈る。


またまたアンダルシアの犬(しかしアフガンハウンド)

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