東方への旅 >> クラクフ・バリツェ空港

クラクフ・バリツェ空港〜フランクフルト国際空港
Port lotniczy Kraków-Balice〜Flughafen Frankfurt am Main


バスに乗ってしばらくいくと空港のきれいなビルが見えてきた。
最初に国内線ターミナル、次に国際線ターミナルに止まる。空港は小さく、免税品店もキオスクみたいな規模だった。
LOTポーランド航空397は搭乗が遅れたが、出発はほぼ定刻通り。

搭乗口に向かうバスの中でドイツ人のおじさんに話しかけられる。
ドイツからクラクフに入ったのだというと、ドイツではどこを見たの?と尋ねられた。ハンブルクとかベルリンとか、と答えると(さすがに強制収容所めぐりをしたとは言うのは憚られて)
「なんてことだ、ライン下りもしなかったのか!」
と嘆くように言う。
「ノイシュヴァンシュタイン城も見なかったのか? 狂った王が造った城だ。ええと、なんて言ったっけ彼は」
「ルートヴィヒでしょ?」
「そうそうルートヴィヒ!」
しかしおじさんは歴史には明るくなかったらしく話はそれ以上広がらなかった。
「ポーランドはずっといい天気だったけど、ドイツでは雨に降られて大変でした」
「確かにここ三日ポーランドは暖かかったけど、こんなことは珍しい。例年は気温が氷点下まで下ることも多いよ。君はラッキーだったね」

おじさんは飛行機の中でも隣の席に移動してきてしきりに話しかける。
「日本人の友人に教えてもらったんだが、手のひらのツボを押すと疲れがとれるんだ」
さりげなくボディタッチをしてきたりして女好きそうである。
「英語には自信があるが、フランス語はひとつしか知らない。Voulez-vous coucher avec moi ce soir?(今夜僕と寝ない?) パリで出会った女性にこれを言ったら殴られたよ、あはは」
窓からはフランクフルトの夜景が綺麗に見えた。おじさんは、あれがマインタワーで、あれがテレビ塔でと指差しながら教えてくれた。
「次はバイエルンにおいでよ。明るくていいところだよ」
うん、次は明るい旅をしたいな、と思った。ミュンヘン、レーゲンスブルク、エーベルバッハ修道院。バイエルンにも行きたい場所がたくさんある。でも、ミュンヘン近郊のダッハウ絶滅収容所にはやっぱり行ってしまいそうだ。
おじさんは「この空港は広くて分かりにくいから」とゲートの前まで送ってくれ、連絡先までくれて去って言った。なんだかんだ言って親切な人だった。

クリスマスムード一杯の免税店で最後のユーロを使い切る。お土産を買う時間的余裕がなくて、これまで職場で配るお菓子さえ用意できていなかったのだが、ここで初めて買うことができた。今回は全体にお金を使わない旅行だったと思う。
飛行機は満席で、座席が不足しているらしく、振り替え便への変更を一名募っていた。謝礼として350ユーロ、振り替え便はビジネスクラスだそうな。仕事の予定さえなければ名乗り出たかった。

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