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滯英日記 >> スカーバラ

スカーバラ Scarborough


ヨーク駅

11時41分ヨーク駅発の列車でスカーバラに向かって出発。ヨークとMoltonの間に修道院らしき廃墟が見えた。カークハム・アビーというらしい。
車窓に見えるのは川のほとりで犬と戯れる人、だらしなく横になっている馬、ひつじ、白鳥、つみわら、やがて窓の外をカモメらしき鳥が飛び交うようになる。海が近づいているのだ。
スカーバラはスノッブな保養地で「スカボロー・フェア」の牧歌的で呪術的な雰囲気はなかった。町をそぞろ歩いているのは白人ばかりで、ヨークにあれだけいた中国人はまったく見かけない。

今夜の宿泊先は1867年創業の老舗、グランドホテル。ヴィクトリア女王に敬意を表してVの字をしているこのホテルは、スカーバラの海岸を見下ろす位置に聳え建っている。創業当時は世界最大級のホテルとして名声をほしいままにし、開通したばかりの鉄道に乗ってやってくる大量のリゾート客を受け入れていた。
ちなみにここは、アン・ブロンテが1849年に逗留し、そのまま亡くなった屋敷の、その跡地でもある。
内部はさすがに古びているが、豪奢なシャンデリアと絨緞を敷きつめた大階段が往年の栄華を物語る。

しかし非常に残念なことに、このホテルの印象が良かったのはここまでであった。
色々な意味でがっかりホテルであることが徐々に明らかになる。

カウンターでチェックインを試みると14時にならないとできないという。それでは荷物だけ預かってもらい、その間にウィットビーの修道院跡を見学してこようとすると
「荷物はお預かりできません」
ときっぱり言うカウンターのお姉さん。
「どうしてもというならそこのCabaret ballroomに置いてもいいですよ。ただし鍵はかかってませんので自己責任で」

ウィットビーの修道院は長い階段を上った先にあるという。とうていスーツケースを持ったまま訪問できるような所ではないだろう。
不安だがしかたがない。
Cabaret ballroomは真っ暗で、机と椅子が端に積まれていた。部屋の隅の机の陰に隠すようにスーツケースを置く。気休めかもしれないが。

荷物の無事を祈りながらスカーバラ駅前のバス停へ向かった。13時10分発のバスでウィットビーを目指す。


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