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東方への旅 >> ザクセンハウゼン強制収容所(1)

ザクセンハウゼン強制収容所 Gedenkstätte Sachsenhausen

■Oranienburgへ

Fürstenbergは無人駅だったので、切符はどうするのかなと思ったら、ホームの隅にひっそりと券売機が立っていた。コインが足りるかどうか危ぶみながら近づくと、大きいお札も使えると表示が出ている。ヨーロッパの券売機というとコインのみという思いこみがあったので意外だった。しばらく来ない間にヨーロッパの鉄道事情が進化したのか、それともドイツに限っては昔からこうなのか。
検札機は見あたらなかったのでそのまま乗ったが、検札のおばさんに何も言われなかったのでこれでよかったのだろう。
旅行者の立場だと検札は旅情を高めてくれてなかなかいいものだが、地元民は毎回毎回面倒ではないのだろうかと考える。鉄道会社としても、いちいち人力で検札するより、改札で一括でチェックしたほうが運賃も確実に徴収でき、人件費の削減にもなると思うのだが、あえてそうしないことで雇用を創出しているのだろうか。

来た路線と同じルートを逆方向に戻り、オラニエンブルクOranienburgで下車した。
それほど大きな駅ではないが、構内にパン屋や薬局など一通りの店がそろっている。
線路をくぐって駅の反対側へ出た。広い道沿いにはカフェなどもあり、気持ちのいい道である。
歩いていく間、何度も若者のグループとすれ違った。

■収容所跡地


表示に従って15分ほど歩くと、住宅街の真ん中に収容所のエントランスが現われた。目と鼻の先には普通の民家が建っていて、その屋根の間から収容所内の施設が覗いて見える。
もちろんこのエントランスは戦後に作られたもので、収容所自体の正門はもっと奥にあるのだが、それにしても近い。

エントランスは真新しく、しかも非常に洗練されたデザインである。コンクリート打ちっ放しの壁に大きくザクセンハウゼンの文字が書かれている。コンペを勝ち抜いた良い意匠が採用されているのだろうが、こういう施設があまりスタイリッシュなのもどうかと思う。醜いよりは美しい方がよい、というのは理屈では分かるのだけれど、漠然とした違和感を覚える。
たむろしている若者の間をすりぬけてインフォメーションに入り、地図を買って、さらに奥へ進んだ。

左手には高い塀が聳えている。右側はフェンスが続いていて、その向こうにはボロボロになったSSのガレージが朽ち果てるままに残っていた。
学生らしき団体がフェンスの前に立って説明を受けている。ガイドの話す言葉は英語だった。戦勝国の人たちか、と内心で呟く。同じ施設を見にきても、彼らにはアジア人の私などとはまた違った立場があるはずだ。つまり、解放者としての視点である。家族単位で染みついたバックグラウンドは切り離せない。

しばらく進むと、収容所の正門が見えてきた。時計のついた、可憐とも見える建物である。門には悪名高い「労働は自由への道」の文字がある。
その門をくぐると正面に大きな慰霊碑があった。慰霊碑に描かれた赤い三角形は、非収容者が胸につけていたワッペンをモチーフにしている。ワッペンは罪状別に色分けがされており、一目で収容理由が分かるようになっていた。黄色がユダヤ人、緑が犯罪者、黒が反社会分子(ロマ、娼婦、浮浪者など)、ピンクが同性愛者、紫がエホバの証人といった具合である。赤は政治犯。ザクセンハウゼンは共産党員、アナキストといった政治犯の収容で知られた収容所だった。


収容所の敷地は慰霊碑のある地点を頂点としてきれいな三角形になっていたようだ。慰霊碑の正面に立って眺めると、バラックの跡と監視塔が等間隔に放射線状にならんでいる。監視を容易にするためだろう、整然とした配置はまさに機能美である。この精神はあの真新しい美しいエントランスにも通じているような気がする。

■ソ連兵特別キャンプ

風がびょうびょうと吹きすさぶ中、三角形の頂点に向かって歩いた。三角の敷地内からはみだした位置に煉瓦造りのバラックが何棟か残っている。ソ連軍捕虜を収容した特別キャンプだ。
ここまでは足を伸ばす人も少ないのか、見渡す限り無人で、ぼうぼうに伸びた枯れ草の中に煉瓦のブロックが立ち並ぶ光景は凄まじいものだった。

■クレマトリウム

壁にそって少し戻るとクレマトリウムの跡がある。戦争末期、SSが証拠隠滅のために自らの手で破壊したのを、屋根だけつけてそのまま展示している。ガス室の跡から延びるスロープが生々しい。


周辺には小さな草地のようなスペースがいくつもあり、遺灰を埋めた跡であるとのプレートが立てられていた。

■銃殺壕

クレマトリウムのそばに、地面から一段低くなっているスペースがあった。ゆるやかな坂を下りると、薪の積まれた壁に突き当たる。単なる薪の貯蔵庫かと思ったが、解説によると、ここで銃殺刑が行われたとのこと。




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