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2005.9.26(月)

セゴビア Segovia

Argimina, nombre, le dió
la loba santos exemplos
Costança la restauró,
Elvira la libertó,
Dos Hermiseldas, mil templos
Sancha casó las donzellas,
Urraca, flor de las bellas
Verenguela muy pomposa,
Ysabel en toda cosa,
perfición de todas ellas.
Canción de las reynas de España──E.de Valderrábano


空気が冷たく張りつめて気持ち良い。
駅までは徒歩15分くらいだろうか。歩けない距離ではないし治安にも問題ないとは思ったが、荷物が重かったので結局タクシーを使った。
9:43発の電車でバリャドリッドへ向かう。さよならブルゴス。
車内には荷物置場があって便利だ。しかしホームと電車入り口の段差が大きすぎるのは改善してほしい。短足には辛かった。

バリャドリッドまでは約90分の旅。途中停車駅のパレンシアでいきなり進行方向が逆になったので焦るが、どうやら向きを変えただったようで、無事バリャドリッドに到着した。
バリャドリッドは城彰二選手が一時期いた所。サッカーチームがあるだけあって、かなり大きな町だ。
スーツケースをグ〜ログ〜ロと引き摺ってHOTEL PARQUEにチェックイン。荷物を置いてから、ホテルのすぐ隣りにあるバスターミナルでセゴビアまでの切符を買った。LINECAR社から、約30分間隔で便がある。

スペインの道路はどこもよく整備されている。畑を貫いて走っていくと、突如としてオアシスのような村が現れたりする。
小さな家や学校が身を寄せ合っている、そんな町にバスは何度か止まり、そのたび地元の人を乗せたり降ろしたりしながら二時間ほどで終点のセゴビアに到着した。

他の観光客と一緒にゾロゾロと町の中心部に向かう。前方にローマ時代の水道橋が見える。道の両側にはバルや土産物屋が建ち並び、道は舗装されて新しいが、セゴビア最古の教会サン・ミリャン教会をはじめ、ロマネスク調の教会が点在していて心惹かれる。


サン・ミリャン教会
12世紀にアラゴン王アルフォンソ1世によって建設された

■水道橋 Acueducto Romano

水道橋はフランスのポン・デュ・ガールに比べると規模では見劣りするが、その分繊細で女性的な印象。脇の階段に上ると巨大な水道橋のこれまた巨大な影が落ちている。
階段を下りずに、そのまままっすぐ進むと旧市街である。10分ほどで 広場に着いた。西側に、カテドラルがスカートを広げたような優美な姿を見せている。

■カテドラル Catedral

入場料を払って中に入ってみた。外観の華麗さに対して、内部は比較的簡素な印象を受ける。なお、聖堂内での撮影は禁止。
ユステのカルロス1世の絵、カトリック両王の時代のコインなど、歴史ものも多少あったが、等身大のキリスト像をはじめとする彫刻が特に見応えがあった。ピラト(らしき人物)と驢馬に乗ったイエスを題材にしたものは、彩色彫刻としては初めて見た。
この教会にはエンリケ2世の子でアルカサルのバルコニーから転落して死んだ王子ペドロの墓があるとのことだったが、見落としてしまった…。

カテドラルからアルカサルへ延びる細い道は、にぎやかな商店街。土産物屋だけでなく、洋服や化粧品、電化製品、お菓子などの店も並んでいたので、地元の人もこのあたりで買物するのかもしれない。
途中、BAZAR JAPONという出っ歯にメガネの日本人をロゴにした電器屋を発見してトホホな気分。

←アンティークのお店。(お休みでした)

■アルカサル Alcázar

公式サイト

ディズニーのシンデレラ城のモデルがノイシュヴァンシュタイン城だというのは有名な話だが、「白雪姫」のお城のモデルになったのがこちらのアルカサルだという。
スレート瓦で葺いた大小の尖塔が遠目にもよく目立ち、中世スペインの城というよりフランス・ロワール地方のアゼ・ル・リドやシュノンソーを思わせる外観を与えているが、これはフェリペ2世の時代に付け加えられたものである。
最初にこの地に王宮を築いたのはラス・ウエルガスを創立したアルフォンソ8世。しかし大々的に改修が行われたのはトラスタマラ朝の時代になってからだ。そのためか、たいへんトラスタマラ色の強い城。


《玉座の間》

玉座は19世紀にアルフォンソ13世のために作られたもの。
カトリック両王に敬意を表して、両王の紋章と、Tanto Monta(「イサベルとフェルナンドは同権」の意)の銘で飾られている。

《ガレー船の間》

フアン2世の娘でエンリケ4世の異母妹だったイサベルが、王妃の不義の子と噂され正統性を疑われた王女フアナ「ラ・ベルトラネーハ」と王位を争った際に逃げこんだのもこの城だった。
セゴビア市民の支持を受けた彼女は、サン・ミゲル教会でイサベル1世として即位宣言をする。
その様子を描いた絵がこの部屋にあった。

部屋の側面のステンドグラスには、トラスタマラ朝の開祖エンリケ2世の姿がある。
アルフォンソ11世の庶子として生まれたエンリケ・デ・トラスタマラは、嫡出の王子である異母弟ペドロ1世を廃して王位に就いた。
エンリケ2世の立像を中心に、左に先王ペドロ1世を倒すエンリケ、右にエンリケの息子フアン1世の死が描かれる。

※クリックで拡大します

落馬した上、その馬に蹄で顔を踏まれるフアン1世の情けない姿が涙を誘う。何もこんな場面をステンドグラスにしなくても…。
ペドロ王とエンリケはよく見ると二人ともわずかに笑っていて、なんとなくのんきな戦闘場面。

「ガレー船の間」は宮殿の中心となった広間で、天井が船を逆さにした様子に似ていることからこの名前がついたそうだ。エンリケ3世の妻カタリーナ・デ・ランカスターが建設を命じた。
エンリケ3世はエンリケ2世の、カタリーナ・デ・ランカスターはペドロ1世のそれぞれ孫にあたり、二人の間に産まれたフアン2世の戴冠によってカスティーリャは再び正統な王を戴くことになった。そう考えると、なんだか感慨深い(ような気がする)。

《諸王の間》

ペラヨからトラスタマラ朝最後の女王フアナ1世までアストゥリアス、レオン、カスティーリャの歴代国王像がずらりと並んでいるという、歴史オタクには垂涎ものの部屋であった。
ただし、これは19世紀以降の復元によるもの。もともとの天井が1862年の火事で消失してしまったためだ。
当時アルカサルは砲兵学校として利用されていた。
修復にはアブリアルによる素描を参考にしたとのことで、後で売店で購入したパンフレットにはその原画も一部載っていた。
像の下には各人の名前と略歴が書いてあるのだが、イサベル1世がイサベル6世になっていたので?と思っていたら、どうやら女性の君主として何人目か、という数え方をしているらしい。だから、その次のフアナ1世はフアナ7世になっている。

北側の大きな窓からは、アルカサルの周囲に広がる平原を望むことができる。
中央左寄りに見える十二角形の教会は、12世紀にテンプル騎士団によって建てられたラ・ベラ・クルス教会。
エンリケ2世の息子ペドロ王子は、このバルコニーから乳母の手をすり抜けて墜落死した。責任を感じた乳母も後を追って身を投げたという。 王子の墓はカテドラルにある。

ひととおり見学を終え、土産物屋を物色。
大量の騎士の人形が箱に入って乱雑に積まれていた。ルーアンやヴェルサイユでも同じようなものを見た記憶がある。もしかして全部同じ中国の工場でつくられて、ヨーロッパ各地に出荷されているのではないだろうか。
書籍売場にはイサベル女王はもちろん、フアナ女王やフアナ・ラ・ベルトラネーハの評伝が売られていていたく心をそそられる。しかしスペイン語では読めないので諦めてパンフレットコーナーへ。
パンフレットには薄くて簡単なものと、それよりやや詳細で収録図版が多いものとの二種類があった。日本語版は薄い方しかない。迷った末、薄い日本語版と厚いフランス語版の二種類を買うことにした。
さらに会計の時、レジの脇に「カスティーリャ女王フアナ1世の時代の宮廷音楽」というCDがあるのを発見して衝動買い。ほくほく。今年がフアナ没後450年にあたるのを記念して制作されたらしい。
同じようなテーマのCDはすでに持っているんだけど、収録楽曲があまり被ってなかったからよし。


どこかの部屋にあった甲冑。
上半身しかないのに、よく見たら顔が入ってた。
怖いよ! なんか土気色だし。



最後にフアン2世の塔に登ってみることにした。
アルカサルとは別料金で、狭い螺旋階段を上がっていくのだが、登り始めてすぐに後悔。けっこうきつい。
息を切らして屋上に到着。暗い階段から一瞬にして抜けるような青空の下に出たので、すぐには目が慣れなかった。
城壁の真下をのぞき込めばエレスマ川が流れ、正面に目を向ければカテドラルとそれをとりまくセゴビアの旧市街が見える。町の周辺は乾いた平野、さらにその向こうには薄青い山脈が連なる。
日射しはひたすら強く、時折吹く風が気持ちよかった。
しばし景色を堪能した後、さて出口はどこかしらと思ったら、なんと来た時と同じ階段を下りるのであった。
どうか誰も登ってきませんように…との願いもむなしく、何度か人とすれ違うはめに。そのたび壁に張り付くようにしてやりすごした。ぐったり。

帰りはもと来た道をのんびり歩いて、再びバスターミナルからバリャドリッドに戻った。

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