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2004.9.29(水)

ブリュッセル Bruxelles


11:31ブルージュ発の電車でブリュッセルへ。ブリュッセル・ノール(北)駅で下車。
宿泊先のHOTEL PRESIDENT NORDは、ここからプレメトロに乗り継いで一駅目のRogier駅で下車とのこと。地図を見ると歩いて行けそうな気もしたが、荷物も多いことだし冒険はやめにして、おとなしくプレメトロに乗る。車内はやや混んでいて、スーツケースを持った私はみんなの迷惑となっていた。
ホテルはRogier駅の階段を上がったすぐ目の前にあった。
チェックインを済ませ、荷物を置いて街に出る。

■グラン・プラス Grand Place

王立美術館を目指しててくてく歩く。
途中、グラン・プラスを通った。ジャン・コクトーが『平調曲 Plain-Chant』の中で「豊饒なる劇場」と評した壮麗な広場だ。


市庁舎

王の家

白鳥の家

15世紀建造の市庁舎、カール5世の命によって改築された「王の家」、歴代ブラバン公の胸像が飾られた「ブラバン公の館」のほか、かつてギルドハウスとして使われていた建造物が広場を取り囲んでいる。
各ギルドハウスにはそれぞれ名前がついている。
ファサードに刻まれた彫刻に因んだ名前であることが多いようだ。
「牝狼(ロムレスとレムスの彫刻がついている)」、「黄金の木」、「白鳥」といった具合。
白鳥の家はマルクスが『共産党宣言』の草稿を練ったと言われているところ。


セルクラースの像

「星の家」の壁にはセルクラースの像と呼ばれる観光名所がある。14世紀に、フランドル伯に対抗して「星の家」にブラバン公の旗を掲げた英雄であるらしい。
この像に触れると幸せになれるそうなので、遠慮なくなでまわしていると、ぽつぽつと雨粒が落ちてきた。

王立美術館への道を急ぐ。
ロワイヤル広場下の階段にさしかかる頃には結構な降りになってきた。
木の下でしばらく雨やどりをした後、小降りになった瞬間を狙って王立美術館に駆け込んだ。




■王立美術館 Musée Royal des Beaux-Arts

公式サイト

売店で解説本を入手し、まずは古典部門から攻める。
初っ端からファン・デル・ウェイデンが腐るほどあってわくわくする。おびただしい宗教画に紛れるように、フィリップ美公とフアナの肖像画があった。作者不明のこの作品は、祭壇画の両翼として描かれたものではないかと思われる。二人の衣服の表現が精緻だ。

Philippe le Beau et Jeanne d'Aragon et Castille 1505頃
フィリップ美公とジャンヌ・ダラゴン・エ・カスティーユ(アラゴン・カスティーリャ王女フアナ)
聖ヨゼフ伝説の画家

しかし先程買った解説本は大失敗だった。まず間違いが多い。
例えば前述のフィリップ美公夫妻の肖像画は、この本に言わせると「フィリップ善良侯と妻・気違いジョアンの肖像」となる。
「気違い」……。日本の出版物ではなかなか見ることのできなくなった稀少な単語です。まあ気違いは間違いじゃないので構わないのだが、フィリップは「善良」でも「侯」でもないのでこちらは完全に誤訳である(ル・ボン(善良)と呼ばれるのは彼の祖父のフィリップ)。
また「日本語表記は基本的に英語読み」とあるのだが、実際には英語で統一されているというわけでもなく、英語でもフランス語でもオランダ語でもない謎の人名表記が頻出している。読みにくい……。
無精して日本語版を買った私が悪いのだが、これなら英語版かフランス語版のほうがなんぼかマシだった。

ディルク・バウツ「オットー皇帝の裁判」。皇后の讒言で無実の罪を着せられ、処刑される伯爵。伯妃は真っ赤に焼けた鉄を握って神の前に無実を証明し、皇帝は皇后を焚刑に処す。
皇后の讒言と伯爵の斬首刑、伯妃の「火の試練」と皇后の火刑が時系列にそって同じ場面に描かれる、中世独特の技法。
オットー皇帝とは神聖ローマ皇帝オットー3世のことらしいが、この絵に描かれている伝説がどこまで事実に即したものなのかは不明。あとで調べてみたい。
クラナッハ「ウェヌスとエロス」、画家お得意の優美なヴィーナスと奇妙な蜂の巣を抱えて途方にくれた感のエロス。
憧れのボッシュ「聖アントワーヌの誘惑」。こちらは復刻で、オリジナルはリスボンにある。当分リスボンに行く予定はないので隅々までじっくり眺める。ブリューゲル父の「反逆天使の失墜」とあわせ、ここぞとばかりに書き込まれたヘンないきものを堪能。
子のほうのブリューゲルは「嬰児虐殺」、牧歌的な殺戮の場面である。

ルーベンスなどはざっと流して見て、20世紀部門に進む。
デルヴォーは期待したほど点数がなかったが、「夜汽車」が良かった。
「公道」もここにあったのか。澁澤龍彦『裸婦の中の裸婦』の一番最初に登場するのがこの絵である。十代の時に読んで、一度実物を見てみたいと思っていた。なおこの本ではタイトルが「民衆の声」と訳されていたが、「公道」のほうが相応しいと思う。
つづいてはクノップフ、アンソールを求めて19世紀部門へ。アンソールの仮面の絵と並んで、彼の仮面コレクションの一部が展示されている。中には日本の翁面もあった。
クノップフは「見捨てられた街」を楽しみにしていたのに、いくら探しても見つからない。貸し出し中だろうか。
19世紀部門の端、階段のそばに「カール五世の生誕」の絵があった。
ダヴィッド「マラーの死」はルーヴルにもほとんど同じものがあるが、ダヴィッドはいったいこのテーマで何枚描いたのだろう。この絵がブリュッセルにあるのは、ナポレオンの失脚後、ダヴィッドがベルギーに亡命していた名残か。

ミュージアムショップで、妹に頼まれていたデルヴォー展の図録を探す。残念ながら見つからない。
記念用の絵葉書を漁るが、妙に種類が少ない。デルヴォーなどはシント・イデスバルトのデルヴォー美術館とは比べ物にならないくらい貧相な品揃えで、あそこで買い込んでおけばよかったと後悔する。
かろうじて見つかったフィリップ美公夫妻の肖像とクノップフを何点か購入し、店の外に出ると、上階にブックショップがあることに気づいた。喜び勇んで見に行くが、やはりデルヴォーの図録はなかった。
再びミュージアムショップに舞い戻り、迷った末「夜汽車」のポスターを購入した。筒に入っているが思った以上に大きい。これは帰りに荷物になるな。


坂下からロワイヤル広場をのぞむ



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